上田秋成(うえだ・あきなり)「蛇性(じゃせい)の婬(いん)」の舞台
江戸時代を代表する読本(よみほん)「雨月物語(うげつものがたり)」(1776年刊)。中国の白話(はくわ・=口語体)小説の影響下に成立したと言われる全5巻から成る9編の怪談小説集。各巻に2編ずつ収められているが、巻4は「蛇性(じゃせい)の婬(いん)」1編。主人公、三輪崎の網元の次男大宅豊雄(おおや・とよお)は、雨宿りで知った新宮に住む縣(あがた)の真女児(まなご)と自称する美人に惹(ひ)かれ契(ちぎ)りを結ぶが、そのためにいろいろな災難に巻き込まれてゆく。「いつの時代(ときよ)なりけん、紀の国三輪が崎に」とあって、時代は定かでないが、道成(どうじょうじ)寺伝説なども下敷きにされ、舞台は熊野と姉の婚家大和石榴市(つばいち)など。 作者は上田秋成(うえだ・あきなり・1734-1805)、国学者として本居宣長(もとおり・のりなが)との論争なども有名。

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