船町(ふなまち=材木町)界隈
写)船町の蔵屋敷

かって船町は「材木町」とも言われ、パチパチと算盤(そろばん)を弾(はじ)く音が、格子戸の中から聞こえてきた。白壁の土蔵がズラリと並んでいた町並みであったというが、度(たび)重なる火災、震災で、すっかり様相が変わった。 増水時、川原町の建物を解体して避難させる「揚・(上・あ)がり屋」というものを、船町界隈に持っている人も多かった。「川原よいとこ、3年3月、出水さえなきゃ蔵が立つ」と新宮節の一節に歌われたように、3年商売をすれば、家が一軒持てると言われ、実際に船町界隈に家を新築した人も多数いる。それだけ、川原町は賑(にぎ)わって一財産を成すのには最適な場所でもあった。

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