浜王子
承元4(1210)年5月、新宮参拝を終えた修明門院(しゅうめいもんいん)は那智山に赴(おもむ)き、その道筋で阿須賀(あすか)、高蔵(たかくら)、佐野、一乃野(いちのの)王子に参拝しているが、「浜王子」の名は当時の記録には見当たらない。湊にあった高蔵王子が、道順からすればこの王子社であったかもしれない。「浜王子」の名が登場するのは、文明5(1473)年の「九十九王子記」から。江戸時代には浜王子社といわれ、「方三尺六寸余」(約120センチ)の小さな祠(ほこら)と鳥居があったことが、「紀伊続風土記」に見える。

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