春夫生誕の日の句
写)父の句を春夫が揮毫したもの(佐藤春夫記念館蔵)

代々医師や学者を輩出した「懸泉堂(けんせんどう・春夫らの実家)」は高芝(たかしば・現那智勝浦町)の学問の府、春夫の父豊太郎も狂歌趣味を有し、俳人として句も詠(よ)み、鏡水・梟睡(きょうすい)などと号した。長男春夫が生まれたのは4月、そのときの句「よく笑へどちら向いても春の山」。次男夏樹(なつき)は、7月の生まれ、父の命名の句は「思ふさま茂れやしげれ夏木立」。三男は6月の生まれであったが秋雄と命名。その折の句は「行くさきにこぼれ物あり秋の雞(とり・鶏と同義)」である。

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