王子ケ浜の風景―春夫の詩の舞台
写)王子ケ浜を走る新宮鉄道の汽車

佐藤春夫の代表的な詩のひとつ「少年の日」。初恋の人・大前俊子(おおまえとしこ)への思慕(しぼ)を歌ったとされる。その第三節「君が瞳(ひとみ)はつぶらにて/君が心は知りがたし。/君をはなれて唯(ただ)ひとり/月夜の海に石を投(な)ぐ。」の、月夜の海こそ王子ケ浜。春夫には「秋くれば王子が浜にゆく汽車のけむりの黒さかなしからまし」の和歌もある。王子ケ浜はまた、台風接近時などは千穂(ちほ)ケ峰にその怒涛(どとう)をこだませた。

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