映画作品への不満
文芸評論家絓秀美(すがひでみ)は、著者が映画の小説化を行ったのは、強い決意があるからだとし、端的言えば「「戴冠せるアナーキスト」(アントナン・アルトー)を積極的に肯定しうる言葉を、小説がいかにしてもちうるかという問題」だとし、映画の主人公は「戴冠せるアナーキスト」と呼ぶにはためらわれるほどの大時代的な演技に終始していた、と評している。しかし、この小説が試み通りの「文体」を獲得しているかどうかは疑問だとも言っている。

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