孔島(くしま)・万葉集(まんようしゅう)の歌碑
「万葉集」4500首のなかで、「浜木綿(はまゆう)」が詠(よ)まれた歌は1首しかない。作者は「歌の聖(ひじり)」と言われた柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)。「三熊野の浦の浜木綿百重(ももえ)なす」と歌われているように、浜木綿が熊野に自生しているものとしてはやくから都には知られていた。そうして、浜木綿が「百重なす」を導くことばとして、相手への恋心を伝えることばとして、和歌の世界で定着してゆく。 この歌はおそらく都で詠まれたのであろうが、三輪崎沖の孔島(くしま)が、ハマユウの群生地であったことから、その歌碑が、万葉学者犬養孝(いぬかい・たかし)の揮毫(きごう)で、原文の万葉仮名(漢字)で記され、1974(昭和49)年建立された。


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