御手洗(みたらい)海岸へ
王子ケ浜海岸が南側で尽きる辺り、岩場の御手洗海岸へと続く。神武東征の神話と結びつく。神武天皇が御手を洗われてたところとされ、丹敷戸畔(にしきとべ)を誅(ちゅう)したとされる勝得坂(かつえざか)を上がると広角(ひろつの・広津野の表記も)に通ずる。 明治16年イギリスの汽船カーナボンセーア号が岩場で座礁。三輪崎、広角の住民らが奮闘、死者を一人も出さずに救助、同国から感謝の品々が贈られた。 御手洗の岩場の洞穴には、明治期以来、今で言うホームレス(昔は乞食(こじき)と言った)が住みついていたと言う。沖野岩三郎は小説「宿命」で、キリスト教の牧師がそういう人たちに伝道する姿を描いているが、多分に実体験に裏付けられたものだろう。また、熊野川原から強制移転させられたというような記述もあるが、真相は明らかではない。

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