「無限抱擁」
「無限抱擁」は1927(昭和2)年9月に刊行された滝井孝作の唯一の長編小説。足かけ4年にわたってつづられた連作体小説。「竹内信一」で登場する作者、「松子」のりん、碧梧桐(へきごどう)、菊池寛(きくちかん)、室生犀星(むろうさいせい)ら若き日の作者を巡る人々がそのまま登場。吉原(よしわら)遊廓に居た松子と信一との恋愛、結婚、やがて松子の病死の経緯が記される。最終章では松子の死後その母との係わりが描かれているが、場所は千葉県の我孫子(あびこ)である。川端康成は「稀有(けう)な恋愛小説」と評している。

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