永田衡吉(ながたこうきち)の「熊野新宮御燈祭」考
永田衡吉は明治26年新宮の生まれ。劇作家として「厩戸皇子(うまやどのおうじ)」が出世作。史劇・現代劇70余編、歌舞伎座などで上演。民俗芸能研究家としても活躍。『民俗芸能・明治大正昭和』(昭和57年刊)に収められているのが、「熊野新宮御燈祭」である。 「火を鑚(き)る聖(ひじり)」「天狗が荒れる」「呪言(じゅごん)と悪態(あくたい)」「成年戒行」などの項から成っていて、「祭祀の古代性を知るには少なくとも維新前夜にまで追求する用意を怠ってはならない」とは、至言。明治維新の神仏分離、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の政令は、この祭祀の性格をかなり変えたと言う問題意識から、古老からの伝聞などを通して、熊野修験とこの祭りとの係わりを考察している。

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