小浜(おばま)への道
写)明治44年の地図に描かれる小浜付近

佐藤春夫「わんぱく時代」に描かれる、この小説のヒロインお昌(しょう)ちゃんの住む家は、「新宮の本町(ほんまち)と熊野地とを通ずる切通しの戸坂は地形に変化の多い所である。戸坂の切通しが熊野地へ導くのとは別の坂道が小浜越えに導く峠の家は前の小浜の家とはくらべものにならないほど小さくみすぼらしかった。」と、記されている。また、それより先の部分に「小浜は山に近くものさびた閑静な地で旧藩主の夏館(なつやかた・波瀲館・はれんかん)のあったあたりで、店などはない。」とある。いまは、ほとんど道を辿れず、池田と小浜の港の峻別もつかない。


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