おいの伝説
「おいの見たけりゃ藺ノ沢(いのど)へござれ、おいの藺ノ沢の蛇(じゃ)の穴(がま)へ」と俗謡(ぞくよう・=俚謡・りよう・地方で唄われた里歌)に歌われたように、大蛇が「おいの」という美しい娘を呑(の)みこんだという伝説が、安珍・清姫(あんちん・きよひめ)の道成寺(どうじょうじ)伝説などと呼応(こおう)し合って取り込まれたとされたのだろうか。取り込まれたとする説は無視できなかったとみえて、「新潮日本古典文学集成」などでは、「雨月物語」の注解として、浮島の森の「大蛇に呑まれた娘」の伝説を紹介している。

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