お燈祭り
元は旧暦正月の6日夜に行われていたと言うが、やがて新暦の2月6日に定着。白装束に荒縄を締め、松明(たいまつ)を手に登山。いまでも女人禁制(にょにんきんせい)の祭り。「御燈祭(おとうさい)」はこの頃、俳句の季語としても定着。佐藤春夫に「ふるさとはお燈祭りの寒さかな」の句があるが、ここでは季語は「寒さ」。 明治期の神社合祀がされる前には、新宮町内に十数ケ所の氏神があり、これらすべてに参拝する上り子もあった。いまでは、速玉大社、阿須賀神社、妙心寺に参拝してから登山する。古式にちなんで王子ケ浜で禊(みそぎ)をするものも居る。 奥山際地(おくやまぎわじ)には、今神倉と称する氏神もあり、少年の火祭りがここで行われていたこともある。 この祭りに参加した作家辻原登の句に、「御燈(おとう)より 荒き火なし 鎮(しず)める火なし」がある。

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