春夫の自作朗読
玄関入ってすぐの廊下には、CDデッキが置いてあり、スイッチを押すと、春夫自身による自作の朗読が流れる。春夫の肉声で聞こえてくるのは、「ためいき」「秋刀魚(さんま)の歌」「少年の日」「望郷五月歌」である。故郷を離れてもう何十年にもなるのに春夫の新宮訛(なまり)は終生消えなかったと言われ、独特の味わい、温(ぬく)もりを感じさせる。「望郷五月歌」については漢詩風に「ぼうきょうごがつか」でも良いし、「ごがつのうた」と読んでくれても良いと言っている。詩句のなかでは、「哀れなる五月(さつき)来にけり」と読んでいるのに、タイトルでは「ごがつ」と読ませたかったのであろう。

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