復元かなわなかったサンルーム
建築当初は2階西側は、もともと全面、外に張り出したバルコニーだった。8畳和室の西側に金属製の手摺(てす)りがついているが、これは当時そこが屋内、屋外の境であったことを今に伝えている。当時は階段もなかった。そのうち床が痛み、階下に雨漏りするようになったので、バルコニーをサンルームに改造。この改築は昭和28~29年ごろのこと。バルコニーの床を外しぶち抜きにすると、1階がとても明るくなったので、春夫はそのバルコニーを屋根も窓も全部ガラスのサンルームに改造。2階のガラスを拭(ふ)くのに廊下が要(い)るという家族の意見もあり、考え直して現在のように2階廊下の一部を空(あ)け、そこに狭い階段を設けたという。左側の廊下の部分を少し広くして、ここも格好の書斎になり、春夫はよく使っていたようだ。 佐藤邸を移築、記念館とするにあたり、サンルーフの復元が難しいと言うこともあり、もとのガラス屋根のところまで屋根を伸ばし、天井に蛍光灯をはめ込んで、現在の形とした。屋根の勾配(こうばい)もやや違ってきたようだ。

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