設計者・大石七分(おおいししちぶん)
佐藤春夫は、昭和2年、東京の文京区関口町に自邸を建てた。設計は西村伊作の弟大石七分(しちぶん)であると書いた父宛の春夫の手紙が残っている。「家の設計、大石七分がやり面白いが、一万円ぐらいかかりそう」とある。同じ頃、七分は杉並区阿佐ケ谷の兄西村伊作邸、横浜の加藤一夫邸なども、設計監督に当たっている。  春夫は伊作からの話などを参考に、パリ時代の大石七分の「奇行」を小説に書いたのが、「FOU―一名「おれもさう思ふ」―」である。

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