「滞船(たいせん)」風景・石井柏亭(いしい・はくてい)画
1913(大正2)年新宮を再訪して西村伊作邸にしばらく滞在した画家石井柏亭は、池田港の風景を「滞船」で描いている。テンペラ画で色彩豊か。夏の強い日差しの下、木陰で網を編む労働者、筏(いかだ)の向こう林立する滞船の帆柱。柏亭31歳の時の作品は、この年の第7回文展で入選、話題となる。柏亭にとっては1909(明治42)年の夏以来の再訪。柏亭はその後、西村伊作が東京・駿河台(するがだい)に開校する文化学院の有力な援助者となる。

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