「ノルマントン号沈没の歌」
写)ノルマントン号事件を揶揄(やゆ)した当時の絵画

1887(明治20)年、作詞・作曲者不詳のまま「抜刀隊(ばっとうたい)」の元歌として作られたと言われている曲のひとつ。1番は「岸打つ波の音高く・夜半(よわ)の嵐に夢さめて・青海原(あおうなばら)をながめつつ・わが兄弟(はらから)は何処(いずく)ぞと」。4番は「ついうかうかと乗せられて・波路(なみじ)もとおき遠州(えんしゅう)の・七十五里もはや過ぎて・今は紀伊なる熊野浦(くまのうら)」。全部で59番まである。国の権威はどこにあるのかと問う内容は、時節柄もあって国民のナショナリズムを高揚させ、不平等条約の改正要求が一段と強まった。「日本のうた・明治大正編」などに掲載。

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