ぼっつり山と「わんぱく時代」
写)春夫自筆の「わんぱく戦争」見取図(佐藤春夫記念館蔵)

「ボッツリ山というのは丹鶴山のお城山の南につづき並ぶ小さな雑木山(ぞうきやま)で、城の堀の一部の残ったお堀の東側の丘である。」と、佐藤春夫は「わんぱく時代」で述べている。「わんぱく戦争」の主舞台であった。さらに、「やがて、ここに気象観測所の予報にもとづいて、熊野川の出船や沖の海上安全のため、雨天には円錐形(えんすいけい)、荒天には球形の大きなボッツリ(竹かごのはりぼてを彩色したもの)を高い柱の頂(いただき)に掲げて警報とした。特に、この地方に被害の多い颱風(たいふう)の夜はボッツリに代えて不気味(ぶきみ)に光る赤い大ランタンがつるされた。」と言う。


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