熊野川原での催し物
写)阪本式飛行機(大正3年)

熊野川は急流で陸路が開かれていなかったため、「筏(いかだ)流し」も盛んで、川の両岸に多くの筏が係留され、材木屋が「寸検」といわれる、大きさの点検を声を出して行い、それぞれ所有の木印の確認も行われた。人々が「権現(ごんげん)さん」と呼んだ速玉大社境内を取り込むかたちで、周辺では、芝居や催し物、露天商などが日常営まれていた。 一大イベントとして興行も盛んで、なかでも、1914(大正3)年11月の阪本式複葉機の旋回飛行ショー、翌々年8月の米人飛行士アート・スミスのカーチス複葉機を使用しての曲乗り飛行は、前者に2万人、後者に3万人の観衆が詰めかけた。スミスの曲芸用飛行機は、当地の名物となるプロペラ船のヒントになった。


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