「六角堂(ろっかくどう)」と玉置酉久(たまきとりひさ)
写)「六角堂」正面、愛用のロバも写っている

大石誠之助の兄の酉久(とりひさ・1861-1949)は、大地主玉置家を継いで、屋号を「能城屋(のぎや)」と称した。時に革新派の町会議員として活躍し、「三星(さんせい)」と号して、和歌や俳句も作った。兄余平に勧められてキリスト教に入信、教会の執事なども務めた。明治30年仲之町のキリスト教会の前に洋館を建設、通称「六角堂(ろっかくどう)」と呼ばれた。数々の奇行(きこう)のエピソードでも有名。和服を左前に着る、洋服を着て野良仕事に出る、ロバに乗って笛を吹きながら農園に行く、屋敷に鐘堂を設け、気に入らないことがあると鐘を撞(つ)く、等々。童話作家の巌谷小波(いわやさざなみ)の「口と目と耳」や、英文学者戸川秋骨(とがわしゅうこつ)の「自然、気まぐれ旅行」などに書き留められている。


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