日の出座と末広(すえひろ)座
日の出通りは、北に向かって堀端通り、仲之町通りと交差する。映画館やパチンコ店、飲食店などが立ち並ぶ繁華街を形成していた。 明治33年9月、現在のパチンコ21世紀の場所に、劇場「日の出座」が杮(こけら)落し。矢倉明神前には「末広座」があった。いずれも、花道や回り舞台を持つ芝居小屋の作り。「大逆事件」が起こる前に、大石誠之助や森近運平らが、演説会を開いたのも、これらの劇場。時に「演説中止」の臨検警察官の声が飛ぶこともあった。 芝居は大阪方面からばかりではなく、意外と伊勢方面からも一座が入ってきた。小津安二郎監督の名画「浮草」の最後、紀勢線と参宮線との接点、いまでも残る多気駅駅舎で劇団が次は新宮で興行と予告する場面がある。


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